第七五二回 この時期に訪れるテストの日々。


 ――それは別名、中間試験と呼ばれるもの。窓の外は緑色が映える五月雨。



 転がる鉛筆……机の上。


 別に鉛筆を倒して、倒れた方向に答えを求めているわけではないけれど、この湿度と気温の関係は、きっと気持ち良いものではなく、減少傾向へと向かうモチベーション……


 気怠さが高まる。


 でも、試験の時は午前中だけ。二時限だけの試験だから、まだ頑張れるの。午前の十一時までに学園を出ることができるの。そのまま下校。つまりは家路。この期間だけはクラブもお休み。……とはいっても、翌日の試験に備えてお勉強がある。


 僕は帰り道、太郎たろう君と一緒。


 ……と言いたいところだけれど、皆一緒となる。向かうは図書館。多人数だけれど、その中では皆大人しい。利用時間は一時間と定めている、集中する試験勉強。


 僕と太郎君。梨花りか可奈かなりん北條ほうじょう君……ここに来るまでは、盛り上がるお話。それはそれはGWから綴る、ウメチカ戦に向けてのお話。だったら、美千留みちるもまた僕に挑んでくる。せつは梨花と共同作業。そしてまた公太こうた君とも、この中間試験が終わったら、本格的に作るバンプラ。お店では、置いてある数も品切れも続出するも、この間……とはいっても一昨日や昨日、入手することができた一箱。連邦派の一品、摂のお好みのものだった。


 ネオン派の梨花と公太君は溜息もあったけれど、バンプラはバンプラで、作ることに楽しみを見出している。そのためにも今は、目の前の中間試験を乗り切るの。


 高等部の試験は単位が存在し、中等部の頃とは違うもの。つまりは赤点が存在する。そうであるならば追試も、留年もあるといえる。自己責任の部分が存在する。


 その意味では、初陣となるこの中間考査も、皆で集い共有すれば、高まっていた気怠さも薄れ……モチベーションが増してくる。ならば、この場所は、僕らの出陣の場所だ。


 皆が集うのなら、乗り切れる中間考査。


 その理由は、皆一緒に勝ち取ると決め、勝ち鬨の士気が静かなる最中でも上々なの。



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