第七四五回 そして五月五日の背比べ。
――それは、柱の傷。三人で背比べ、この日になるとしたという、僕らのお母さん。
そして
それから、
柱の傷は語るの。旧一おじちゃんはまだ、生きたかったの。
僕には、わかるの。僕が死のうとした時、旧一おじちゃんが、もの凄く怒ったから。
きっと、
キラキラ、夕陽に輝く涙が、その証拠だった。
その日から僕は、梨花のエッセイを拝読した。
等身大の同い年の女の子。僕と瓜二つな女の子が綴ったエッセイ。……初めて見る世界観。でも、どこか懐かしさを覚える温かさ……心に染みる、その思いは、そこから芽生えたものだ。潜在意識の奥深くで、僕は約束したと、今になって気付いた。旧一おじちゃんとの約束。……それは、書き続けること。処女作のウメチカが千回を迎えたとしても、僕は書き続ける。それが、約束だから。命の尊厳を、僕は語り続ける、これからも……
千のストーリーズの向こうには、
新たなる物語が待っているのだ。それはもしかしたら、
そして、星野家が共通とするテーマ。
梨花は、お友達から。僕……
だから書き続けることは、
――旧一おじちゃんとの大切な約束だから。柱の傷が、僕にそう語りかけたから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます