第七三一回 迎える皐月は、まず緑の風と共に。


 ――思えば一日早く出会えたのかもしれない。五月さつきではなく皐月さつきという名に。



 皐月といえば、薙刀部の皐月主将も含まれるけど、ここでは聡子さとこさんのこと。見た目は翔さんを上回る迫力。瑞希先生の裏の顔……とでもいうのか、タイガーが発動して渡り合えるのは、この人以外にきっといないと思える、そんな匂い。それでも親しみやすく、


 ……初対面でも、馴染める不思議な人……


 僕には憧れに思えた。瑞希みずき先生との仲……大人になっても色褪せないそんな仲……


 クシャッと、撫でられる髪。


「嬢ちゃんなら、ここにいる仲間たちと将来も一緒だよ」


 と、言ってくれたの、皐月聡子さん。そして明かされる皐月主将との関係。実は姉妹の関係となったそうなの、御結婚を機に。旧姓は、山田と言った。こうして、スペシャルな四月の締め括りを経て、僕らは迎えた皐月の五月晴れ、颯爽と初日から。


 この日は、私鉄沿線。太郎たろう君と二人きり……


 今度こそ、二人きり。完全なるデート。向かうは僕の縁の地、梅田へ。


 並んで歩くウメチカ。そこでまたウメチカ戦が行われる。三度の、三回目の三年目。その舞台となるドバシカメラの地下。ウメチカと繋がり、発祥の地でもあるの。僕がティムさんと出会って、この新章たるウメチカ! が始まった。



 熱戦は七月……今年は早くに開催。十六日にスタート。その種目は℮スポーツ、バンプラ……はキットの入手困難が続いたため、参加者が現れるか疑問だけれど、予定だけはされている。モリオカート部門と、何とピアノコンクールも視野に入れているそうなの。


 それに何と、ラーメン対決が見られるという噂も。『来夢来人らいむらいと』からはしょうさんと、ランバルさんがタッグを組む……って、もしかしたら℮スポーツ部門かもしれないけれど、戦う相手がいるそうなの。『北條乃軒ほうじょうのけん』から……も親子で出場だそうなの。


 この場所から夢は広がる。様々な出会いや再会があった場所。そしてウメチカを語るのなら、絶対に外せない場所でもある。夢は続くリアルな夢……広がる僕の世界観も。



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