第七二六回 フレッシュ! 開け放つ初夏の扉。


 ――そう。一足先の初夏の扉は、すぐそこに。まずは一旦お家の方へ、その扉から。



 その扉とは、僕のお部屋……


 十五歳の女の子のお部屋……とはいっても少しばかりはね、個性際立つの。


 エブリアニメのグッズと、走る鉄道模型で飾られているの。それからPS4・5の大画面で飾られ、その他のモニターも。太郎たろう君は眺める、にこやかに僕のお部屋。


「やっぱ好きだな、千佳ちかの部屋。見てて飽きないし」


 と、いう感想も頂戴した。高等部を迎える四月に雰囲気を、ちょっとばかり変えてみたの。所謂模様替え? プチ模様替えともいうのかな? 作業時間は一日ばかり簡易的。


「ウフフ……どうする? 暫くいる? それとも、見る? 僕の勝負パンツ」


 ゴチン! 初夏なのにでっかいスノーボールじゃなくて……太郎君の拳骨。


「痛~い」と頭を押さえる僕。


「それはだな、ムードというものがあるだろ。今はまだ、そうじゃなくて、その、遊園地へ行くんだろ、万博記念公園。それに外泊してたんだから、お家の人が心配してると思って女の子が……だから一旦帰ってきたんだから。今日はな、高校生らしい付き合いなの」


 と、太郎君は言う。顔を赤くしながら……


「僕は子供じゃない。女だよ、女はね、時として女豹に……」


「充分魅力的だから。ほらほら支度する。バスで出発だから、ちゃんと服を着る」とまで……ちょっぴり可愛く思えた太郎君。僕は腕を組む、太郎君の左腕に、そして歩むの。


 バス停までの距離だけれど、ちょっぴり大人な感覚に……


 手を繋いでいたのから、少しばかりの冒険。女の子のちょっとした勇気かな? 太郎君は和やかな顔。これで見た目は大人の恋人同士。でも今は、ラブロマンスよりもラブコメが大好き。どちらのイメージが大きく、まだアダルトにはなれないの。まだ子供でいたいと思う部分も大いにありで、セクシーよりもキュートなのが大好きで……


 観覧車のように優雅なのもいいけれど、今はジェットコースターの方が大好きなの。



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