第七二三回 星野だけに、やはりお星様の降る夜となったの。


 ――そう、ここに集った共通点は星野ほしの。そして芸術棟の屋上は、お星様のお祭りに。



 まず僕と梨花りかの名字は星野。そして可奈かなのお母さんの旧姓も星野で、更に加えて可奈のお母さんと、僕ら姉妹のお母さんも、また姉妹。可奈とは、お友達である前に従姉妹。


 思えば僕ら三人の出会いは、この学園だった。


 そして今、集えし仲間たちとこの屋上にいる。


 ――舞う流星群! この後の激動を漠然と感じながらも、その行く先を目で追いかけている。始まったばかりの、この度のGW……これまでにない経験をも占うような……


 されども高まるテンション。


 今日は特別な、可奈のお誕生日。僕や梨花、それにりんよりも、一足お先に十六歳となって結婚も可能なお年頃となったの。バイクの免許も手が届くお年頃……何だか、グッと大人へ引き上げられたような年齢だね。ちょっぴり寂しく思えるようにもなってきたの。


 何だか、可奈が遠くに行きそうで……って、


「何しんみりしてるの、千佳ちか。滅多に見れないよ、この流星群」


 と、いつもと変わらない可奈が、そう言ったの。そして、込み上げる上々たるもの。


「うん!」


 僕らは此処にいる。同じお星様、同じお空を見ながら。北斗も南斗も皆仲良くなる。


 可奈のお隣にはね、一文橋いちもんばしさんがいる。……もうすっかり、その……恋人ムードな。それからこちらもまた。ほらほら、梨花と公太こうた君が腕を回している様子が窺えるの……


「あれは間違いないよ、千佳。あの二人……」


「そうだね。やっぱり梨花はお姉ちゃん肌だ。とても似合いかも……」


 と、いう具合に、ヒソヒソと凛と語り合うもだね、すぐさま二人の視線は僕らに。睨まれるも二人揃って不自然に。お顔も真っ赤で二人とも。怪しい以外の何ものでもなく。


 梨花と公太君、初々しくもカップルと、僕と凛は認定している。可奈のお誕生日でもあるこの四月二十九日をもって。それはきっとお星様が、そっと知っているお話と思えた。



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