第七二一回 星野だけに、やはりお星様の空模様……中の編。


 ――間違ってもピンポンダッシュではなく通常のピンポン。訪ねる勇気は凛々と。



 そして、深い茶色のドアは開く。


 まるでピンポンに連動した機械のように。その姿を見せ躍り出る勇気凛々な女の子。その名も、結城ゆうきりん。「やあ、来たね」と、笑顔で迎えてくれた。


「久しぶりよりもっと久しぶりだね、千佳ちかが凛の家に来たの」


「そうだね、小学校の低学年の時以来。もうお家も住所も変わっちゃってるね」


 そんな会話の中で、僕は凛に案内されるまま、お家の奥深くまで歩く一緒に。そこで顔を合せたのが、凛のお母さん。「千佳ちゃん、すっかり大きくなったね。凛とまたお友達になって、ありがとうね」と、凛と同じく笑顔で迎えてくれた。やっぱり親子。


 凛は母親似のようで、並ぶと笑顔もソックリなの。


 その印象が脳内を駆け巡りつつも、お話の舞台は、お部屋へと……

 僕は凛に、凛のお部屋へ案内され、そのまま入室。今宵は共に、ここで寝ることに。


「何して遊ぶ?」


 と早速も颯爽たる凛の問い。周りを見渡せば、いかにも女の子のお部屋って感じ……


 少なからず僕や、梨花りかのお部屋とは大違いで、僕のは鉄道模型のエブリグッズが中心となって、梨花のはバンプラ中心の模型のお部屋。双子でこうまで違うのだから、当然ちがいは現れる。しかしながらスポ根少女のイメージが強いためか、学園でも見られないどころか、過去と合しても知らなかった凛の一面が、ここにはあったの。


 大きなぬいぐるみに、コスメグッズ。


 お裁縫……刺繍なども。それに対する本の数々。洋裁が趣味? って……


 それから目に入る。心躍るもの。それはゲーム機のPS4・5。そしてもう一つ。そのゲームソフトが何よりの感動たるもの。何と、第一回の『ウメチカ戦』を機に発売されたソフトではないか。なら、遊ぶものは、この共通のもの。僕と凛の。


「やろっ、僕と℮スポで勝負だ」と、声高らかに宣戦布告となった。



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