第七一四回 その合わせる時、その時。
――それは、テラスの午後三時。お空が、少しばかりグレーになった頃のお話。
四月の雨の模様、また近し。今宵はまだ、まだまだ……
向かい合う僕ら。その衣装はまだ体操着だけど、お互い。本番は、僕は情熱の赤を着飾るドレス。その相手は青の蝶ネクタイと白のタキシードで、共にレンタル。これも学園の恩計らい。……誰の提案なのか? 別の意味で興味津々。そのことによって……
微妙なバランスが保たれているようだ。
僕のお相手は、やはり
太郎君の身長は百六十八センチほど。ティムさんを越えた身長。なにしろ男の子だから伸び盛りの時期。僕は未だ百五十センチ未満。……でも、十三歳の頃の百四十三センチからは伸びている。それに胸だって少しは……なら、百四十八センチほどかな? 女の子は基本的に男の子よりも早くに身長の伸びは止まる。凡そ二十センチの身長差を感じる。
始まりは、こうだ。
「シャルウィダンス?」と、僕が手を差し伸べる。……ここまではいいの。見ている
太郎君は表情をもってそれに答える。ある意味では難しい演技。台詞なしの表現となるから、表情や仕草のみで表現しなければならなくて……ぎこちなく。やはりそうなの。
ステップを踏むも、僕の脚はもつれて転ぶ始末で……
「ちょっと、大丈夫?」と歩み寄る三人が三人とも……
「
「天気、ちょっと言い過ぎだよ。二人だって一生懸命やってるんだから」
「そんなことわかってるよ。だから言ってるの。凛、あなただって薙刀やってて厳しいこと言われたんでしょ、泣いちゃうくらいに何回も。わかるのよ、私には」
僕は脳裏に見る、僕の知らなかった頃の凛……思っている以上に、苛酷だったことを。
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