第七一一回 行く先は、遥か彼方の夢。


 ――きっとそこは、ちょっとしたマイ・レボリューション。社交的な場所のようだ。



 森と泉に囲まれた、静かに眠る宮殿にも似たような、とあるホテル……って、実はその名も『とあるホテル』という名のホテル。怪しくも地図にもないような、そんな場所だ。


 ……と、言っていた。誰が?


 その発信元は意外にも、柴田しばた先生のようだ。瑞希みずき先生がそう言っていた。もちろん行くのは初めて。……なにせ、瑞希先生も初めての場所だそうだから、僕らが知る由もなし。


 そして着く。到着したの、バスは……


 高等部一年生、三クラスとも。引率の先生も込みで全員が全員、収容される。


 研修施設とは異なり、社交的な趣だけに、社交ダンスが踊れそうなスペースが完備されている一階のフロント。と、冗談のつもりで思っていたのだけど、今宵あるとのことで。


「ええっ? 社交ダンスなんてしたことないし」

 と、思わず声にした。しかも、声を大にして。


 すると注目の的。そこに集える生徒諸君の視線を一斉に浴びることに。そんな中、柴田先生は「千佳ちか、よく思い出してみるんだ。やってるはずだから、体育の授業で」


 と、その言葉の後、クスクスと笑い声が聞こえてくる……他のクラスからも。そしてそしてだよ、「ほら、体育の授業もそうだけど、今朝もやったじゃない。毎回お決まりの体操で二人ペアーの」と、ツンツンと僕を突きながらりんが、ボソボソと言ったの。


 ――衝撃は走る。


 あれがそうだったの? と。「どうやら理解できたようだな、千佳」と柴田先生。


 そして僕は、クラスを代表してその場で選ばれた。それでもって相手は誰? どなたなの? と心の声で問うも、名乗りを上げたのが「太郎たろう君だよ」と、凛が堂々と言ったの。


「さあ、千佳。ここからはね、プリンセス気取りでお上品に行くよ」と、凛はさらに盛り上げる。するともう一声、「だから、何であんたが仕切ってるの? 私はね、このクラスのクラス委員長なんだから」と、可奈かなは言う。クラス委員長たる風格を見せながら……



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