第七〇二回 杏子色の夕映えは、クラス皆が集う時。
――それは十六時! そして、ビッグなウインドウを染めるお外からの色だ。
お部屋の中で経つ時間は、とても速いもので、ほんの束の間程度のもの……
皆との語らいだって途中、中途半端だけれど、今はとにかく急ぎ足。班の誰もが、六人が六人とも。「遅いぞ!」と怒号が飛ぶも
「すみません!」と、電光石火の対応で、謝罪をした。
「まあ、いい、座れ。
新しい顔ぶれだから話が尽きないのもわかるが、ケジメは着けような。他の者は時間厳守で来て、お前らが来るのを待ってたのだからな。以後気を付けるように」
「はい」
僕らは座った。開いている場所に。六人はそこに固まる。杏子色の光が差し込む、ビッグなウインドウのすぐそばに。綺麗な夕映え……僕の瞳に映るも、柴田先生は語る。この研修の趣旨や、これからの高等部ライフに対する心構えなど。まだ経験はないけど、成人式のような趣。ニュースでは拝見している。僕らはまだ十五歳か十六歳だけれども、己の行動に対する責任を持つようにと、促す、柴田先生。
そして強調するのは、社会に出ても胸を張れるようにするため、……この研修を、そのための糧としてほしいと、願いにも似た訴え。柴田先生の口から放たれる……
僕は刻む、一言一句も逃さないことは難しいけど、
できる限りは心に刻む。それはきっと、ここに集った面々と、これからの学園生活。
――高等部で出会った友は、生涯の友となるだろう。
心に深く入る言葉。将来のことは、少しは考えている方だけれど、ここで出会った面々は、卒業してからも、また会える仲間たち。なら、今宵に続く語らいは深く……
中等部の時とは異なる、深い語らい。
気は引き締まりつつも、トキメキの方がそれよりも勝るように、楽しみと変わった。
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