第六九八回 心構えとその姿勢。


 ――その日は訪れた! 待ったなしだ。



 令和四年の四月は、ある意味では激動の月とも言える。或いは、これまでの清算とも言える事態なのかもしれない。その日……四月二十日の十三時に出発を遂げた。


 いつの日かと恐れもした。

 いつの日かと夢見ていた。


 その境の場所で、僕は妙なウキウキ感を奏でていた。頭の中では……何故そうなったのか? それは柴田しばた先生にあった。真面目に授業を受けていないと思われがちだけれど、そのために目を付けられているのかもしれないけれど、……何故か柴田先生は、僕のことを褒めているの。だから、クラスの中では目立った存在。


 なので、りんちゃんは、


「凛の目に狂いはなかったよ。千佳ちかちゃんは、やっぱりボッチは似合わない。人気者になるようになってたよ。これで遠慮なく凛も、千佳ちゃんに挑めるってわけね」

 と、言うの。隣の席に座って。


 ここは移動中のバスの中。白昼堂々と走る真っ赤なバズ。今は緑の中を走っている。


 その行く先は、遥か彼方……

 いいえ、過去にも行ったことのある学園の研修道場……


 凛ちゃんのキラキラした目は、まるで少女漫画のようだけれど……ではなくて、少しばかりゾクッとする視線。見た目は女の子としては可愛い方だけど……いや、そうでなくて目力は強い方だから、それでかな? 薙刀を持った時の威圧感というのか、或いは……


「僕に挑むって、何を?」


 と、訊いてみる。そのまた隣では、聞き耳を立てている輩……ではなく、太郎たろう君も梨花りかもまた。可奈かなは可奈で観察を続けているようで、話のネタを膨らますためにせつと微妙なコンビネーションで。天気てんきちゃんは別の話題へ……美千留みちると話が盛り上がっている様子。


 次なるファンタジーに挑戦するようだ。――この二人はそれで手を取り合っている。



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