第六七六回 光の中、風の中へと。


 ――それは煌めく光、春を思わせる木漏れ日。風は、和やかな緑の香りを運ぶ。



 僕は走る。


 きっと世界で一番小さな、ちょっとした僕ら姉妹の二二六事件を越えて弥生へと、春に向かってランナウェイなの。それどころか、僕にとってはルーティン。朝の日課。


 コロナ禍での体力づくり、始まりは少しポッチャリしたからだったかな? 走り始めてから、思えばもうすぐ二年となるの。ジョギングは、僕の執筆と、ほぼ同じ期間。


 光を感じ、風を感じる。


 脳内はリラックス状態。気持ちいいから走っている。時には雨の時があったの。小雪の時もあったし、寒い時も、逆に暑い時も……それでも、僕は走ることが大好き。


 これからも、桜舞い散る中でも、高等部になっても、変わらないルーティン。


 今日は、あなたのハートを目掛けている。

 太郎たろう君のもとへ、この先で落ち合う約束。


 カントリーロードの最中にある、とある児童公園で、そこで合流する。そして約束通りに、あなたはそこにいる。白いブランコに座っている。そして僕もまた……童心。


 緩やかな時、

 温かく降り注ぐ木漏れ日の中で、並んで揺れるブランコ。


 弾む語らいも、緩やかな語らいも……どちらも楽しくて。


 もう少しこのままで、

 ずっと、このままで、


 僕はもっと、君のことを知りたいから……


 そして三月、正午より始まる『アニバーサリー・チャンピオンシップ』の第一回の、今はまだ未知なるお題。梨花りかと一緒に挑むけど、もしかしたら……ううん、君の力も借りると思う。君は笑顔で言ってくれるの。僕の、優しいダーリンだから……


千佳ちか、俺も一緒だ。梨花お姉と三人で、この三月を勝ち取ろう!」と、高らかに。



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