第六六八回 その余韻は次の日へと。なにしろ祝日なので!


 ――それは二十三日。その日は二月二十三日、祝日となっている。



 何の祝日なのか?


 今日は天皇誕生日。そして昨日は、太郎たろう君のお誕生日だった。十五歳のお誕生日……僕と同い年になった。ここから僕のお誕生日までは、同じ十五歳。同い年なのだ。


 なので今日は昨日の余韻……


 味わうこととする。僕と太郎君は私鉄沿線を走る電車で、その終点、或いは合流地点ともなるウメチカという名の場所へ。思えば本当に合流地点……だった。ここから始まったの、僕の物語……ウメチカは。そして今、僕はぎゅっと……


千佳ちか?」と、太郎君は僕を見る。


「行こっ、昨日の余韻のまま」と、僕は言う。思えばウメチカは、いつも新章の繰り返しで、必ず何処かと繋がっている場所。終点ではなく、あらゆる方向へと結ぶ場所と、


 僕はそう思うの。繋ぐ手のまま僕らは行く――新たなる章へ向かうためにも、少しばかりの冒険も臨むところなの。中学生も、もうすぐ卒業となる。一応は卒業式というものはあるらしいの、梨花りか可奈かなから聞いた。何となくだけれども、僕にはあまり実感がなくてパッとしないのだけれど、……泣いちゃうのかな? よく聞く話だけれど……


 小学校の頃にはなかった思い、きっと僕はいっぱいした。


 この学園に来てから、沢山の思い出で溢れている。沢山の感情も生まれていたから。沢山のお友達とも繋がれた。……学園だけではなくウメチカ戦でも、小説サイトの書くと読むでも。何よりもお友達からお友達に繋がっていったのだから、もはやボッチとは無縁。


 この先にも繋がっている。

 ウメチカから御堂筋へと、今日は快晴の青色。


 向かうのはしょうさんがいるラーメン屋。以前も二人で行った場所だ。何でも翔さんが試行錯誤した創作料理が、本日より新メニューとして御品書きに載ることになったのだ。


 だから招待してくれた……ということ。翔さんからの細やかなプレゼントだった。



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