第六六七回 ――ついに、令和四年二月二十二日が訪れた!


 ――それは誕生日。君の誕生日。



 去年は、そっと二人で祝ったけれど……


 でも多分、君のお母さんも祝ってくれたはずだよ。君のハッピーバースデー。



 今年は皆。平日だけれど明日はお休み、祝日だからダブルの祝日。今日は皆で君のお誕生日を祝って明日はその余韻に浸る。君は僕をデートに誘ってくれたから……


 君は初めてという、お誕生日を皆で祝うのは。それは意外だったの。君にはお友達が沢山いると思っていた。でも本当は、僕と同じ……ううん、僕より君は強い子だった。


 ――霧島きりしま太郎たろう君。


 その環境は、僕とあまり変わらなかった。母子家庭で、生活も、それほど……お友達は僕と共通の子たちだったの、思えば。それでも君は、いつも僕を守ってくれたから。


 ありがとうの思いを込めて、細やかなプレゼント。


 それがこの企画、君のお誕生日パーティー。君のお家に皆を招待した。だからバレンタインと同じくバースデーケーキもまた手作り。募る想いは加速するの、最高潮まで。


 そしてまたコラボしたの、ケーキ作りもまた、お母さんと。

 その中で脳内を駆け巡る、思い出の一コマ……僕の六六六。


 僕が六歳の、六月六日。その作文の内容は、お母さんと一緒の台所だった。初めてのお菓子作り。その内容はぼんやりとだったけど、紛れもなく楽しかった思い出。


 そして思えば、僕はボッチじゃなかったの。


 仲の良い親子、仲の良いお友達……その頃があったの、僕の思い出の中に。だから君にもあったはずなの、楽しかった頃……例えば、梨花りかとよく遊んだ日のことも。


 もちろん君のお誕生日パーティには、梨花も参加する。その一時を、あの頃の思い出と重ねてもいいと思う。それとも僕を含めて三人、何があっても、皆が君のお友達だから。


 だから集うこの日、君のお家に。



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