第九十四章 ウメチカといえば、やはりゾロ目企画。

第六六六回 ――ついに、この回が訪れた!


 ――その数字は、六六六。


 オーメンの回だ。……とはいっても、僕は悪魔の数字と考えず、

 あくまで『ウメチカ流』で行こうと思う、そう思考するばかり。


 本当はと言うと、あまり詳しくないの。ごめんね。お母さんから聞いただけだから、その映画のこと。事は六月六日の六時……から始まる。僕の場合は、


 ――そうだね、六歳の時かな。


 小学二年生の、六月六日……六時といえば、まだお布団の中で、ええっと、その……


 あの、大きな世界地図を描いちゃった。そのお布団は天日干し、僕はメソメソとしていて……って、何でこんなこと思い出したのだろうと思える程、でもね、お母さんは僕の頭を撫でてね、「千佳ちか、泣かないの。今日は授業参観、元気いっぱい頑張ろっ、ママ応援してるから」……その頃は、ふと思い出すほど印象深い、優しいお母さん。その頃はお母さんのことをママと呼んでいて、僕の一人称は私だった。……このお部屋も広くはなく、


 ワンルームだったけれど、僕にはお城に思えるほど。



 その日は学校で、授業参観の日。


 僕には楽しみだったその日、窓の外は快晴な青色。何処までも広がる色。お友達も、仲良しの子もいたの。席はお隣。名前はね……ええっと、りんちゃん。


 時は三時間目だ。「ねえねえ、千佳ちゃんのママって、どの人?」と、訊いてくるの。


「あの、ドアの傍。白スーツの……」「まあ、とっても綺麗な人ね」と、褒めてくれた。


「凛ちゃんのママも美人。凛ちゃん、とっても可愛いから」と、僕らの会話が盛り上がる中で、当時担任の先生が「結城ゆうきさん、星野ほしのさん、ちゃんと前を向いて。じゃあ元気よく読んでくれるかな、星野さん、作文」と、いきなり当たったの。授業参観の内容は、私のお母さんについての作文。席を立ち読むの作文。「頑張って、千佳ちゃん」と、凛ちゃんは声援を送るそんな中……「星野千佳。私のママはとても綺麗で優しいの……」と、読み始めた。六歳の六月六日、それが僕の六六六なの。とても優しい頃の六六六だった。



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