第六六五回 それが真実だったの。……二月二十二日を目前に。
――ティムさんが身を引いたのは、僕のためを思ってのことだったの。
お母さんが、話してくれた。
僕の知らなかった真実の、ティムさんとのやり取り。そして説得の内容をも。その内容は、もう察しの通り、実のパパと暮らすこと。つまりは本来の親子の形。
日本に一夫多妻制があるのなら、……いやいや人類皆兄弟姉弟兄妹姉妹……なら、形など気にせず暮らせたものだけれど、僕の家族は心で繋がっているから、どの様な形でも特に問題はなし。今まで通りプラス、これまで以上だから、ビッグな家族なの。
ティムさんは僕の、大切なお友達……
そしてある意味では、僕のあしながおじさん的存在だったの。
その出会いは、ウメチカ。まさにウメチカだったから、この物語も誕生したの。梨花と出会う前の七月六日。令和元年の七月六日のこの時、ティムさんに出会っていなければ今の環境も、今の生活もなかった。もしかしたなら、僕はもうこの世にいなかったのかもしれなかった。お母さんとの無理心中も実現していたのかもしれなかったから。
ティムさんと出会えたから、梨花とも出会えた。
そしてそしてそして、本当のパパとも出会えた。
お母さんとの喧嘩の原因には、それがあったの。何で僕にはパパがいないの? と言ったこともある。お母さんが僕にも言えない夜の世界のアルバイトに勤めていた頃が、いじめのピーク。お母さんの悪口を言われたから、僕は我を忘れ……キレたことがあったの。
それが原因だったのね、今思えば……
僕が乱暴された原因は。――そこから立ち直れたのも、ティムさんのお陰と思うの。今度、ティムさんのことも祝おうと思う。ある意味、そこがターニングポイントだから。
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