第六六三回 あっ、それからね。デリシャスなパーティーへと展開していくの。


 ――それは、とある訪問者から始まる。白いお空の、午後三時に。



 僕のスマホに残る着信履歴……


 それは先程、告げられた受験結果。僕に告げる前に、受験者の本人に、本人の学校の先生から告げられている内容で、本人以外にも受験者はいて、全員が同じクラスだから……


 知っちゃうの、受験者全員の結果。


 誰一人と漏れなく告げられ、全員合格を勝ち飾った。太郎たろう君以外に、せつ美千留みちるも、その他二人の男子も……今から行くと告げ、今はもう玄関に。その様まさに疾風の如し。


 とある訪問者は、太郎君。


 天王てんのう中学からの、僕らの学園を受験したその代表として、太郎君が告げる。


 誰よりも何よりも先に、僕に伝えたかったようだ。彼のお母さんよりも先に、僕に伝えたかったようだ。昨日までの奮闘が、嘘のように穏やかな今日……


 もっと賑わうようにと、僕は思想する、想像を膨らませ、この二月のイベントで他に何が残っているのか探って、ササッとスキャナーのように記憶を走らせながら、大いなることが残っていることを再確認したの。その衝撃は、ハンマー以上の重みなの。


 それは、二十二日のこと。


 二年前は僕と梨花りかの出生の秘密が明かされた日。僕と梨花が双子という衝撃的な事実を知った日。そこから一年後には、太郎君の誕生日を知るに至った。……ということで、僕は初めて、彼のお誕生日を祝うに至った。これって、とても大切な記念日だ。


 今年も去年と同じくヒッソリと……って思っていたようだけど、ちょっとばかり違うの今年は。――お誕生日パーティしよっ、デリシャスなケーキ作ってあげるから! と、僕は宣言する。声高らかに。驚いたのは、太郎君……


「いや、俺は千佳ちかがいてくれたら……」


「ダーメ! 皆で祝うんだから、盛大にお誕生日パーティするんだから、太郎君の」


 という具合に、僕は言い張る。感染対策は考えた上で言っているのだから。



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