第六六二回 ここからの展開を臨む、スクラップブックにも似たような感じで。


 ――それは、僕の大好きな漫画のタイトル。古本屋さんで見付け購入した。



 全巻が集ったセット販売。……僕は抱えながら足取り軽く、お家まで帰る。古本屋さんの場所はお隣の、最寄りの駅から次の駅。古風な建物……そこがそうなのだ。


 漫画のタイトルを知ったのはね、

 実は天気てんきちゃんのお陰。天気ちゃんもこの漫画が大好きなの。……実は実は、一緒に情報集めをしていた。この古本屋さんも天気ちゃんと一緒に行って一緒に購入。


 なので割り勘。お互いのお小遣いで。

 なので仲良く、お互いで回し読みだ。


 僕も天気ちゃんも青春な物語が大好き。学園もの、そして素敵な恋模様も。其々の悩みを仲間たちが力を合わして解決していく様は、まさに王道。僕らの憧れなの。


 僕らは、ボッチだったから。


 ……今はね、素敵な仲間たちがいる。長いトンネルを潜って繰り出した明るい世界。お天道様のもと。天気ちゃんにお天気を分けてもらう程に。まさに明るい世界。


 そして今、とある連絡が舞い込む。


 ……漫画を読む最中、あの二月十四日と繋がる。と、したならば、その相手は太郎たろう君なの。『俺も驚いてるが、とにかく行くよ、今から』と言うの、スマホ越しで。


 行くって何処へ? 今からって何処へ?


 とも解釈できるような内容だけれども、僕には解る、少なくとも察してはいるの。こうなると待つ以外にない。何の予測よりも、直接会って聞く方が、確かだから。


 舞い散る雪も、

 春への兆しとなる、名残雪へと名を変えるも、そう遠くない。少しだけ未来のお話となる今日この頃は、そのための未来へのプランだ。少し未来を楽しめることこそ王道。


 ……そして勝ち取ったの。太郎君が、せつ美千留みちるもその他の方々も、僕に縁する者たち全員が、受験を勝ち取った。つまりは学園に通学するのだ、桜舞う季節から。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る