第六五八回 それは、天空を染める色。
――
夕陽に向かって駆け出す青春も、中学生の今も、高校生になってからも、きっと健在のまま、僕らは理想の
「ありがとう」と、そっと言うの。
これからの進路は勿論、この学園での進学。中等部から高等部へ。高等部になったのなら、何だか大人になった気がする。そして
茜色と思いきや、今はまだ青きお空……
窓から見ている。茜色にはまだ、グランドを駆けるサッカー少年や球児たちの姿も程遠い。バレンタインもまた然り。入試試験を越えてからのお楽しみだ。僕らは一足お先に少しばかりの試験を迎える。中等部から高等部へ進学する儀式的な、洗礼とでも表現できること。進学した先でのクラス分けに影響する。高等部になったのなら、クラスは増えるそうなの。この年の受験者が、例年よりも増しているから……凡そ百二十五パーセント。
中等部三年生の今が二クラスなら、
高等部一年生となると、三クラス。一クラス二十四人も三十人と成り得る程に……
ともかく今日もお勉強。帰ったらまた
僕らに塾の経験はない。行ったことがなく勝研ゼミ一筋……あっ、梨花もだった。なら今日は三人でお勉強だね。梨花も交えて、っていいのかな? そう思いつつ声を……
「ねえ梨花、今日どうかな? 一緒に」
「しよっ、太郎君も交えてお勉強。僕も
パッと明るくなる胸の内。……実はちょっとばかり喧嘩しちゃってたの、今朝。それで声を掛けにくくて今になっちゃって……って、ええっと、
「あの、何で喧嘩したんだっけ?」と二人声を合わせて。それでもってお互いの顔を窺いながらも、プッと笑い合えた。「ごめんね」と声を交わしながら、廊下で二人で……
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