第六五七回 それは、ゾロ目の前にも。


 ――高校受験も大詰め。なのだけれども、二月はもう入試試験の月なの。



 僕のいる学園の入試試験に挑む。太郎たろう君はそれを選んだの、専願で……。それほどまでに行きたい学園。とってもよくわかる、言葉には難しいけど、僕と共通する思いの丈。


 それが……

 それらが、この学園の魅力のように思える。何となくだけど、そう思う。


 二年前の二月二十二日。その年は令和二年だから、二のゾロ目となった。その頃は、まだ太郎君と再会をしていなかった。それ以前に、今のようなことは想像も、予想もできなかったこと。そして太郎君のお誕生日ということも、まだ知らなかった頃……


 その日に知ったこと……


 僕と梨花りかが双子だという、当時は衝撃的な事実を。……同時に説明がついた。僕と梨花が瓜二つな程に激似している理由。梨花には衝撃的だったけれど、僕は正直に述べるのなら、ホッと安心感みたいなものを、脳の奥深くで感じていた……感じていたの。


 驚くべきことだったけれど、


 今だから言えるのかな? 梨花とは徒ならぬ関係と、そんな感覚があったの。お友達とは異なった感じがしていた。……でもこのことは、まだ梨花に内緒にしている。


 これからも、きっと、ずっと。


 なので、梨花とも二年となりつつある。お互いが双子と知ってから。双子として意識し始めるようになってから。それはもう生涯に渡り続くこと。きっと未来永劫に。



 入試の試験日は、その記念日たちの少しばかり前に行われる。オミクロン株も怪訝される中だけれど、日にちは変わらず刻一刻と近づく本番。学園の高校受験は歴史を重ねてきたけれど、僕らには初陣。いつでも初舞台だ。それは太郎君たちにとって……


 太郎君在学の、そして僕が中学一年生の一学期まで在学していた天王てんのう中学校から、知っている顔ぶれが太郎君を含め五人、入試試験に挑む。その日は二月十四日……



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