第九十一章 ――心配ないからね。

第六五一回 それは、最後に勝つもの。


 ――愛。その一言を高々と掲げる。今から凡そ三十年前に流行したドラマのように。



 そして前向きな、ラブソングたち。


 お母さんたちの青春を飾っていた。まさに青春の謳歌だ。


 三十年を超えた今でも、新鮮に聴いている。ユーチューブから流れる曲。いつの日だったか? お母さんが教えてくれた曲。バルコニーから見える、夜空に流れる星たちを。


 そんな中で響く、キーボードを弾く音。


 このお部屋でも、お隣のお部屋でも……僕も梨花りかも、執筆で大いにバトルを繰り広げている。迫る第七回となる『書くと読む』のコンテストに向けて日々励んでいる。ウメチカは一週間ぶりとなるけれど、梨花の作品は一月末までに十万文字を目指して毎日更新。


 僕とコラボした作品となる。


 その中でも梨花の大親友ともいえるしょうさんも、執筆に協力してくれた。……姉に代わって僕が、お礼を告げた。そうしたら、翔さんは語ってくれた。


 将来の夢のことを。梨花にも告げていたのだけれど、もっと掘り下げたお話に至ってくれたの。その始まりは、とある一軒の古式ゆかしラーメン店に寄ったこと。そこはそこはウメチカを越えて御堂筋。大晦日の年越しそばを兼ね、ランバルさんと一緒に、そこを訪ねたことが始まりだった。食すと旨い! その言葉で溢れる美味しさなの。


 そのお話をすると太郎たろう君が、


「千佳、今度の日曜日、俺と一緒に行こう、そのラーメン屋」と言うのだ。


 もちろんOK。そう返事をした。


 でも警戒は必要だ。コロナ禍の中……大いに感染者数が増加の一途を辿っている。一日で有り得ない程なの。だからこそ明日の外出は、或いはお出掛けは、そのラーメン屋に絞ることとした。その後は、またお勉強。本格的な模擬の入試問題に挑戦だ。そのテキストは、最寄りの駅から一駅目にある、とある本屋。そこで入手したの、二人で。


 そして愛は勝つように、高校入試もまた、太郎君は勝ち取る喜びで溢れるだろう。



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