第六四九回 初売りのウメチカ。
――初売り出し。この三箇日の醍醐味ともいえるイベント。其の時、一月二日。
一月二日である理由は、この日がタイガースと呼ばれるデパートの、今年初の開店日だから。僕と
僕の好きな色は黄色。太郎君が好んで着るTシャツの色は黒……
そこから察するに、僕らはタイガースという球団のファンだった。今はまだかなっていないけれど、今年は寅年ということも併せて、二人で甲子園に行きたいと思うの。
野球観戦。実は
するとすると、
「梨花、また俺を嵌めただろ? お前が『いいから着てみて』って言うから、試着室で着てやってる間にお前は、俺の服を袋に詰めてだな、それ持ってお前が出るから俺は、このヒラヒラを着たままになったじゃないか。それに
……と、言うことなの。
「翔さん、ホント嵌めやすいもの」と、梨花はクスクス笑う。堪え切れない様子の笑いの中で「でも、嫌じゃないんでしょ? 翔さんだって女の子、綺麗になりたいのは女の子の永遠のテーマだから、本当は着たかったんでしょ? そのお洋服。ジッと眺めてたから」
もっと赤くなる翔さん。やっぱり図星のようだ。
「だってハズいし……」
「とっても可愛いよ、翔さん」
梨花の言う通りなの。僕から見ても同感だ。……でも、太郎君は僕を見なきゃダメ。
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