第六四三回 それは、スペシャルな日々。


 ――思えば、そうなの。


 僕は十二月で『星野ほしの』から『梅田うめだ』になって、『梅田』から『星野』になったの。



 梅田千佳ちかの始まりは、十二月二十五日。お母さんとティムさんが結婚したから。そしてまた、僕に初めてのパパができたからだ。そこから『ウメチカ』の執筆が始まった。


 ティムさんとの出会いこそが……

 すべての始まりだったのかもしれない。そして今日は、会いに行くことにしたの。


 学園からは、とっても近い。芸術棟からは隣接している環境なのだ。学級の状況は、以前よりもフレンドリーなものになっているの。修学旅行を終えてから、学級の翳りは消えていた。……そう思っても、もう大丈夫。今はもう、進路の方に重きを置いている。


 学園の高等部に進学する生徒も、

 学園外の高校に受験する生徒も、今はもう切磋琢磨の良いバランス。僕はもちろん梨花りかと一緒に高等部へ進学する。僕ら双子は、これからも一緒。仲の良い双子のままだ。


 とある小説の『書くと読む』も、僕らは続ける。


 梅田から星野に姓が戻っても、ティムさんからパパが変わっても、僕は『ウメチカ』のままで、PNペンネームも物語も名を変えずに進めているの。これからもきっと、同じだから。


 ――そう思った時、

 そのタイミングで、アマリリスは響いた。学園の一日の終わりを、そっと告げた。


 歩み始める僕の足。するとだね……


「千佳、一緒に行こっ」と、声を掛ける梨花。その傍には可奈かなもいた。


「二人とも……?」


「ティムさんは、僕にとってもパパだし、可奈だって、正確には僕らの親戚だから」


 と、言ってくれた梨花。頷く可奈……込み上がる嬉しさ。僕の心が舞い上がるの。


「ありがと、梨花、可奈」


 僕ら三人は、あの頃のように手を繋ぐ。出会い間もなき、あの頃のように……



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