第六三九回 醍醐味はここから! 大部屋。


 ――今まさに、そこで囲んでいる。いつもの面々。


 まずは僕。そして梨花りか可奈かな天気てんきちゃん。しょうさんも……そしてプラス、クラスメイトの二人、白鳥しらとりめぐみさんに雷鳥らいちょうかなでさんが加わった。僕らとあまり馴染みの薄い二人だけれど、……盛り上がっているの。


 翔さんを囲んだお話によって「……だろ? そしたら梨花がさあ……」と、いう具合に梨花を肴に盛り上がっているの。僕も知らなかった梨花のドジっぷり。梨花は梨花で顔を真っ赤にして「……その話はもういいでしょ、ちょっと手が滑っただけだよ。翔さんのお顔にクリーム、ぶちまけたの。まるで某コントみたいに……」と言いながら、クスクス笑う梨花。そんなやり取りを見て、梨花って意外と大物と思えたの。


 肝が据わっているというか……


 そんなことを思っているとクイクイと、振り返れば可奈が、裾を引っ張って、


「お風呂行こっ」と、言うの。僕らの着ているものは、旅館の浴衣。その裾だ。


 すると翔さんが、


「おいおい二人だけって、そんなのなしだぞ。皆で行くぞ、大浴場」


 と、ここにいる皆に声を掛ける。まるでリーダー格のように仕切っているの。……この七人の中では、翔さんが最年長だから。その次に四月二十九日生まれの可奈だ。


 僕と梨花は、七月六日。天気ちゃんに至っては、翔さんとちょうど一年違いの十月二十一日。白鳥さんは十二月二十四日。なんとXマスイブで、雷鳥さんに至っては十二月二十五日。Xマス当日なの。……そういえば二人とも、その日はお泊りするという。


 つまりカップルなの。

 女の子同士の。そこでまた、新たな情報を仕入れたのだ。


 そして去年に至っては、サンタさんからXマスプレゼントを貰ったという……枕元の赤い靴下の中。ゲームソフト。あのウメチカで使用されたものと同じもの。そんなわけで、


千佳ちかさん、今度のXマスは、あなたの彼氏を一緒に挑戦受けてもらうわよ」


 と、ビシッと指差し、白鳥さんと雷鳥さんが二人揃って宣戦布告してきた。



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