第六二六回 それは、余韻深し夜も更けて。
――目覚めると、まだキスの余韻。
実際は、唇だけではなく体中にも残っていた。
今でもお月様は、見ているの僕を。
窓の向こうから、或いは旅館のような、障子の向こうから……
僕と
そして何故、
――僕らと違う学校の生徒である太郎君が、この場所にいたのか?
実は、太郎君だけではなかったの。……
誰が言ったのか?
それは
でも、僕には言わなかったの。意図的に内緒にしていた……僕と一緒に学園に、通い始めてからこれまで、ずっと……。今日初めて発覚して、梨花は言うの。
「もう大丈夫みたいだから、行っといで、美千留さんの所へ」
と、送り出してくれたの。それはまさに、小学校の修学旅行の再現。……行けなかったとも、行かなかったともとれる、小学校の修学旅行。だから一晩だけ、戻るの。
あの日できなかった、美千留との思い出に。今なら、楽しく過ごせると思う。僕らが小学六年生の時の面々が、同じ部屋に集ったの。僕は枕を持参してお邪魔して……皆が笑顔で迎えてくれた。思い出話よりも今のお話の方が断然、盛り上がるお話だから。
カードゲームも、皆で一緒のお風呂も……
そして枕投げも。始まりは僕から。提案者が僕だから。すると何と、いつの間にか太郎君もいて、何故か
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