第六二一回 集えて候、僕らの班。そこから飯盒炊飯に転じる。


 ――そう。ルーの話題で盛り上がる中、まるで藪からステックのように帰って来た。



 御三家と言うべきなのか、――梨花りかしょうさん、可奈かな。スーパーロボットの四季折々を操縦しているパイロットなの。でもでも口外御法度。地球規模のジャッジメントだから。


「お帰りなさい。

 お疲れでしょうけど、飯盒炊飯、僕らと一緒にしてくれるかな?」


 労をねぎらう思いを瞳に浮かべ、僕も天気てんきちゃんも……実はさっきまで打ち合わせしていたの。三人をおもてなししながらも、一緒に飯盒炊飯をエンジョイするための策を。


 それは、あくまで策や法……


 でもね、僕らには懸命な善後策……


 すると、梨花と翔さんは、顔を見合わせながら「逸貯やったるか」と意気投合。飯盒炊飯は、梨花が得意とするところ。そして多くは語らないけれど、翔さんも得意とする……らしいの。それは誰から聞いたかと言うと、可奈から。口外御法度でも情報通だから。


 なので、察しの通りなの。


 口外御法度の情報が、僕や天気ちゃんにも流出する原因。それは彼女が原因だから。



 まあ、それはさておき、


「さあ、颯爽たるお米研ぎから開始だね、翔さんは本体にお水。中蓋にもお願いね、そこに研いだお米を入れるから。目安は……そうだね、大体ね」と、梨花の弾む声。


「ウム……大体とは、野生の勘か?」


「ちょっと違うかな、女の勘かも?」


「ま、まさかお前……コージ・キッカーのこと」


「や、やめてよ、僕のタイプとは真逆なんだから……って、それ以前に僕は百合だし」


「フ~ン、顔真っ赤にしといてか? それに何だかお前、不自然にテンション高いし」


 そんな感じで、梨花と翔さんの会話の中で、飯盒炊飯は進んでゆくのだった。



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