第八十六章 二〇二一年のトラベリングについて述べる。

第六一五回 今はもう十一月。学園行事が見事に重なる受験生。


 ――本来なら、初夏に予定されていたもの。



 その学園行事は中止から開催となり、八月下旬に決まるものの延期を告げられ、また中止説が飛び交う中、断固として行う方向へと、更なる変化を遂げてきた。


 これまでも、


 これからもまた、その予兆は音を立てるのだけれど、もう打ち消す強さを持つ。それは対策という名の強さだ。感染防止対策。正しく行うのであれば、もう変更はない。


 ただ、まっしぐらに歩むだけだ。


 一念の強さは、その道程をまっすぐな志で突き進む強さ。勇敢な人となれるの。

 クラスを一丸としたのも、また然り。天気てんきちゃんの学芸会に対する執念が、まずは学園に、そして教育機関にも革命を起こしたと、そう言っても過言ではないと思うの。


 そこをクリアーした先には、


 最大なる学園行事の修学旅行が迫っていた。修学旅行は小学校も中学校も高校も三種類あるけれど、つまりは中等部にも高校にもあるけれど、今この時のタイムリーな修学旅行は二度とないから。コロナを寄せ付けない対策も万全に、日頃から……


 中等部三年生は、もう二度とないから、


 エンジョイすることに、全力全開な思い。思いは募る想いをも含み、待ち侘びる秋の模様を描いていた。物思う秋や読書の秋……食欲の秋も、人の爽やかな欲を叶える。


 この度の修学旅行には、そのすべてが備わているの。


 ……とはいっても、僕には生まれて初めての修学旅行で、そこで行われる何もかもが新鮮なもの。それから、天気ちゃんも参加することになった。持病のことがあったのだけれど、クラスの皆が説得してくれて、ご両親の納得も得れた。あとはしょうさんも……特別に参加することとなった。『高等部パスへの最終関門として行ってこい』との、先生のお言葉を残して。つまり翔さんが高等部に編入した先の担任が、そう言ったのだ。


 そしてその旅先では、太郎君や摂が在学している学校も合流する運びだ。



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