第六〇六回 今はまだ、中学三年生だから。


 ――連想するのは、お勉強の日々。その中でも、やっぱり心は常夏のダンス。



 弾けたままの感覚。塾に行かない代わりに唯一の教材。勝研ゼミナール。中学一年生の冬から始めて、今も継続しているの。梨花りかが勧めてくれた教材だ。毎月一緒に注文し、購読しているの。今は新型ウイルスの感染を怪訝している節もあるようだけれど、僕は自分のペースでないと頭に入らない……って、梨花もそうだったの。


 なので、二人揃ってマイペース。

 されど、二人揃って阿吽の呼吸。


 二人だからこそ、お互いを補い合えて、そして無敵となるの。



 ――だからこそ、


 しょうさんは突破口を開いた。……天気てんきちゃんもまた、それに続く……というよりも、もしかしたら、突破口を開いたのは、天気ちゃんの方かもしれない。翔さんは言っていた。


「触発されたのは、俺の方かもしれない。

 あの子の思いは、きっと皆に反映する。俺は益々楽しくなってきたよ、学園が」


 と、そのように。そして奏でるシャルロットさんのピアノは応援歌となる。見事な構成で仕上がった学芸会。これこそが『新解釈の白雪姫』のテーマともいえるの。



 これから創り上げる新章を迎えた学園生活。


 中学三年生は、まさにその助走期間。晴れやかなる高等部の入学式を迎えるための。どんなにレベルの高い高等学校に進学しても、僕は皆がいるこの学園がナンバーワンだ。


 他の学校に比べると、確かに生徒数は少ない……それは瑞希みずき先生が、この学園の生徒の頃から纏わりつく問題。いじめは、旧一もとかずおじちゃんの時代から纏わりつく問題。瑞希先生のお母さんが新米教師の頃から、もうすでにあった問題。僕は、旧一おじちゃんと同じ血筋の『星野ほしの』として宿命を転じたいと常日頃、そう思い、熱く思い一念を込める。



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