第六〇二回 ウェルカム! 学園ライフへ。


 ――誰もが、しょうさんを受け入れてくれた。



 ここにいる誰もが。

 この校長室にいる誰もが。


 その裏側で何があったのかは知らないけれど、裏口なんかなく真っ向勝負の表から。僕らウメチカファイブのジャッジメントも表の世界で行われるように、もうこの学園に、裏の世界なんて存在はしない。かつての大先輩たちが守ってくれたと、そう云われている。


 僕は何となくだけれど翔さんに、僕らとは違う匂いを感じていた。



 ……でも、いいの。僕にはわかるから。面戸向かって翔さんの顔を見た時に、悪い人ではないと。もしかしたら僕なんかよりも、正義感溢れる人なのだと、そう直感したから。


 いじめを経験してきた僕は、

 ある種の勘が働くようになっていたの。今なら、その勘も信じられる。直感を。


 ――そして言う。シャルロットさんが翔さんに。


「でも、学園に通うためには試験を受けてもらわないといけないの。……確かに私には財力もあるから、あなたをすぐにでも編入させてあげることはできるかもしれないけど、あなたは納得しないでしょ? ――真っ向勝負。それがあなたの求めてることなら」


 ……そう。敢えて言ったのだと思う。


 裏口編入を促すような言動のように思えて、しかも学園の首脳陣の前で堂々と……

一瞬はそう思えたのだけれど、それは翔さんの人柄をアピールするためだと思えたから。


 その上に、梨花りかは笑顔で、


「逃げないよね? 翔さん」


「当たり前だろ、逃げたら葛城かつらぎ翔の名前が廃るわ」


 ……クスッと笑う、シャルロットさん。


「そう来ると思ってました」と、さりげなく一言。……って、意外と仕掛け人かも。



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