第六〇一回 その行く先、歩む先には何が。


 ――それは梨花りか。梨花の行く先に、その答えは潜んでいる。


 今の僕には、ただ梨花の背中を追うしか術はない。そしてそれは、しょうさんも同じ。



 僕にも予測できない梨花の行動。……もう暫くは、身を任せるしかない。六〇〇回を超えた今となっても。このエッセイは、まだこのお話を区切ることもできず、次の展開まではもう少し、お時間が必要とされる。次の展開、それは、天気の子が綴る短編……


 新解釈の白雪姫が連載開始となるから。ある意味予告?


 その間、ウメチカは暫くの充電期間を迎える。……実は、悩んだ結果なの。新解釈の白雪姫には、天気てんきちゃんから見た僕が描かれているそうだ。でも、多くは語れないね。


 と、思っている間にも、歩みは進んでいるよ。

 時は、あくまで前に進むものだから。僕もそして翔さんも。その一瞬先の未来へ。


 ――扉は開く! 今、梨花の手に委ねられる。


 その奥から放たれる白き光は、僕らを包む……いや、吞み込むの方が表現的には合っている。そう、呑み込むの。その白い世界の中へと……。そこはもう未来の世界なの。


 それでもって目が慣れると、見たこともある光景へとその姿を変える。目をこすり、しかと見ると、学園の校歌の歌詞が掲げられた額縁。紛れもなく校長室だ。


 そこには、僕らとは遠い存在の校長先生と教頭先生も……この二人は双子という専らの噂だ。ただ、僕らのように瓜二つとまでではない。見たら区別はつくようだ。それに早坂はやさか先生と……何故かシャルロットさんまでいるの。驚いたのは、僕より翔さんの方で、


「シャルロットさん、あんたもこの学園の……」


「はい。生徒ですよ。待ってましたよ、あなたが訪ねて来られるのを。……実は私から頼んでましたの、梨花ちゃんに。……でも、確か二十六日だったような」


「アハ、アハハ……」と、いう具合に、力なく笑って誤魔化した梨花。


「翔さん、あなたに通ってもらいますよ、この学園に、私達と一緒に」


 ……そう、それこそが僕とシャルロットさんからの、翔さんへのお誕生日プレゼント。



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