第五九六回 佳境に差し掛かる時、二人は。
――噛み合った二人の呼吸。それこそが、クライマックスで必要な部分だ。
誰と噛み合うのか? それは
実は、新しい王妃は梨花が扮することとなったから、僕を泣かせる程に迫真の演技を要求されていたのだ。そしてそれは、僕が泣くことによって、仕上がっていた。
何よりも、
――その部分なの。新しい王妃は執拗なまでに、白雪姫を虐める役割なの。我慢強い白雪姫が、泣きながら宮廷から逃げ出す程に。肝心なのは、梨花が僕と瓜二つなまでに似ていること。つまり鏡に映るのは、僕とソックリな梨花の顔。だけれど……
心の色を表現している。善と悪の心の色。その役作りに、梨花は苦戦しながらも悪役を演じる。……そこに生まれるのは悪の美学。そして求めるものは、更にその向こうへ。
だったら、その佳境に入るためには?
それは夜のこと。星空で繋がる其々の心の中で、僕と梨花は同じお部屋にいた。一緒に入浴して上がった時だ。僕らはお互いを見ながら、……そこに答えがあったのだ。
二人で一つ。
梨花の厳しい練習を受けて、その先に見えたものは、お互いを認め合うこと。それこそが、佳境に入ることとなるの。そして仲の良い双子に戻るの。……嫉妬という色が鏡から消えることによって。美しきものは、その心。二人とも美しく……オンリーワン。
その鍵となるもの。それこそが王子様。
白雪姫の目覚めのキス……となる。その白雪姫は僕。王子様は
今日、姿を見せたの。今日だったの、天気ちゃんが教室に姿を見せたのは……
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