第五八九回 一人よりも二人がいいさ。
――猫の手なんてとんでもない。鬼に金棒レベルだよ。と、弾む心。
野生な部分も見せながら、弱肉強食の世界でも叶うようにと。その瞬間から、
「一人よりも二人がいいさ……」と。
それは翌日からの放課後は、僕と一緒。最寄りの駅で待ち合わせしてから、天気ちゃんの様子を窺うという意味。一緒に天気ちゃんのお家を訪ねるの。……でもね、
「引かないかな? いきなり二人で訪ねちゃって」
「まあ、確かに、そうだったな。勢いだけでここまで来たけど」
と、言う太郎君の表情を見るなり、プッと笑えてきちゃって、
「本当にそうだったの? ちゃんと計画を整えて来たのかと思ったら、太郎君て意外と間抜けね」……という具合に、笑いが止まらなくなっちゃったの。
「うるせえ、だって仕方ないじゃないか。
更なる言い訳……というか、太郎君の意外な一面で、子供がよく都合が悪くなると言いそうなことで、とても可愛く思えてきちゃって、とっても可愛く思えてきちゃって、
――丁度そんな時だ。ガチャッと、玄関のドアが開いた。
そこはもう、天気ちゃんのお家の前で、天気ちゃん本人が出てきたの。……というわけで、いきなりの御対面となった。初めての対面となる天気ちゃんと太郎君……
その傍らでヤキモキする僕だけれど、クスッ……と、天気ちゃんは笑顔を見せてくれたの。ホッと安心するよりも、もっと大きな喜びが脳内から溢れた。
久しぶりだったの、天気ちゃんの笑顔を見たのは。方法論を越えた太郎君の勢い。そして紹介するの、太郎君のこと。……どう言うの、僕は? 彼氏? それともお友達? ううん、やっぱり正直にダーリンと。太郎君は僕の、親愛なるパートナーだから。
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