第五八五回 ……急を告げられる瞬間。
――お家に帰った。
というよりも、
学園も行けそうになく、でも、涙だけは止まらないの。
ずっと泣いてばかりで、それだけが、唯一できたこと。
梨花は傍にいてくれた。今も傍にいるの。学園に行かずに、僕の傍でずっと。もうお昼も過ぎゆき……すると、梨花は僕に言うの。
「
「……いらない」
と言った時だ。梨花は僕の頬を叩いたの。
僕は叩かれた頬を押さえて、梨花の顔を見た。……潤む梨花の瞳に、僕が映っていた。
「いつまでそうしてるの? いつまで悲劇のヒロインを続けるつもりなの?」
……信じられない言葉だった。
梨花とは思えない言葉だった。……「酷い」と、僕の口からその言葉が漏れた。
「酷いのは千佳じゃない。あなたじゃない、一番元気にならなきゃいけないのは。今のあなたを
その瞬間だ。
頭の天辺から、電撃が走った。グッときて、涙も何処かへ行ったような感覚だ。
――同時に、
お家を訪ねて来たのだ。そして僕らのいるお部屋まで上がって来て。……因みに、ここは二階、梨花のお部屋だ。そして早坂先生の背後から、ヒョッコリと
「無断欠席のことはもういい。君たちの事情は、僕がちゃんと知ってるから。――それよりも行こう。天気君が意識を取り戻したそうだ」と、早坂先生の言葉がこだました。
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