第五八三回 黄昏のお空に輝く一等星。


 ――もう、そんな時刻となるけれど、僕らは歩く。三人が三人別々に動いていた。



 その理由、出雲いずも天気てんきの捜索。早退したとは聞いたけれど、まだお家には帰っていないそうで……お家の人も心配して、近所から探し始める。僕らと一緒に……


 夜の帳にはまだ明るいけど、


 お家の方は、つまり天気ちゃんのお父さんは、一緒に捜そうと促すの。女の子だけでは危ないから……と言って。心当たりも訪ねるけれど、一向に行方は解らずだ。


 警察には……


 告げた。天気ちゃんのお母さんが。普通の家出とかの感じではないの。血相も変えて涙ながらに、……この時、初めて知ったの。天気ちゃんには持病があることを。


 決まった時間に……


 お薬を摂取になければならない……そうなの。もう、その時間も過ぎゆき、お薬は今日は持参しておらず、だからなのかもしれないの。天気ちゃんが早退した理由。


 焦る……


 焦る焦る焦る焦る……「どうしよ、どうしよ」と、泣き声になる僕を、「しっかりしなさい、千佳ちか」と、叱咤激励くれる可奈かな……ではなく、梨花りかだったの。瞬間ビクッとなる僕だけど、「僕らも一緒だから。千佳と一緒だからね。もう少し頑張ろっ」と、繋いでくれたから、信じるの。――天気ちゃんが無事なことを。ケロッと笑ってくれることを。



 すると坂道、下る路地裏……


 発見したの、天気ちゃん……発見したけれど、


「なんて酷い……」と、声を漏らした、天気ちゃんのお父さん。ゾッとするほどに怒り交じりの声。僕らも目の当たりにしたの。……ボロボロだったの、天気ちゃん。


 明らかに乱暴されている。その息も、ヒューヒューと漏れていて、これ以上はもう説明が……「千佳、救急車! ボーッとしないで急いで!」と、梨花は怒鳴った。



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