第五八一回 ルーティーンと成すこと。


 ――この辺りから、暫くの間は。


 登校前の朝のジョギングで、太郎たろう君と一緒に走ることも、その後の朝シャンも……そこは梨花りかと一緒。毎日、お互いの裸体を見ることになる。同じように成長する裸体。


 今日もまた、瓜二つを保っている。


 そして一緒に登校。その道程も今日もまた……最寄りの駅で、可奈かなと合流する。やっぱり三人一緒が安心感が保てる。いかなる環境の変化にも対応できそう。これまでだってそうだった。電車の密と比例する込み具合も、乗客の層も変化が激しいのに、いつもと変わらない日常としてくれたのは、梨花と可奈が、傍にいてくれたお陰だと思えるの。



 きっと、これからもそう……


 高等部になっても、三人は一緒に登校する……ううん、もっと賑やかになるの。太郎君とせつも、もしかしたら美千留みちるも、これって集団登校みたくなっちゃうね? もうボッチじゃないと実感する。過去の因ありて現在、前に進むために奮闘し、未来は縁する人、皆がいる。明るい世界を縦横無尽に駆け巡る、そんな前向きなお話になっていくの。


 教室では授業前、将又、席に着く前に、


千佳ちかちゃん、おはよ」


 と、声を掛けてくる天気てんきちゃん。四組なのだけれど、何故か二組の教室にいる。


 今日初めてのことで、戸惑いは隠せないが……「おはよ」と、一日の始まりを記す挨拶からの、「どうしたの? もうすぐ始まっちゃうよ、HR」と、切り返してみた。


「千佳ちゃん、それちょっと冷たくない? 昨日は無理に、私ん家に連れてっちゃったから、ごめんとは思ってるんだけど、ありがとうとも思ってるから、……あの、私の拙い作品を読んでくれて。それで実はね、相談したいことがあってね、学芸会のことで」


 と言うの、天気ちゃん。今はもう時間も時間だから、


 中休みに、また来るって言って、そのまま教室を出ちゃったの。その相談したい相手は僕だけではなく、梨花にも、それから可奈にも関係のあることらしい。三人揃って……



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