第五七七回 そしてゴール! そこには。
――歓声に包まれるグランド。しかも勝利を奏でる湧きたる歓声なの。
でも、もう少し先。
ずっと、横に並んでいるの。……もう二人だけの世界。アンカーの四人中二人は、僕らのまだまだ後ろを走っている。学園のお外に出るも、
「
「天気ちゃんこそ。息弾んでないね? まだまだ余裕?」
「ううん、結構必死」
「僕も、かなり必死。……グランドまでもう少しだね、そろそろスパート?」
「何々、動きの探り合い? だったら一気に決めるから、校門を潜ったらね」
――と言っている間に校門だ。
なら、スパート! グランドのセパレートコースに入る。これが僕の全力全開。超気持ちいい! と心も開放され、調子に乗ってハイペース。……すると、えっ、ええっ?
信じられないことが起こるの。脚が縺れた? そんなのダメ! と踏ん張るにも踏ん張り切れずに……思い切り派手に、まさかの、砂埃を舞い上げながら転んだ。
天気ちゃんは、振り返ることなくそのままゴール……
後ろを走っていた二人も、追いついてくるの。立ち上がるも、追い抜かれ……焦って走るも、もう、最終走者。一番最後のゴールとなっちゃったの。込み上げるの、涙……
その場にへたり込み、泣いちゃったの。大泣きも大泣きで。
「……ごめんね、皆」
「ううん、千佳よく頑張った」
「偉いよ、最後まで諦めなかったじゃない」
と、寄り添う
そして天気ちゃんも……寄り添ってくれて、「悪く思わないでね。……でも、千佳ちゃんと久しぶりに走れて楽しかったよ。また今度も、一緒に走ろうね」と。
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