第五七五回 前向きな走者! 駆けるの。


 ――それは『駆けっこ』だから、相手との勝負があるの。一向に縮まらない差。



 四クラスともが団栗の背比べを競っている状況。だから、応援にも熱が入るの。


 第二走者も第三走者となり、僕らはグランドを縦横無尽に移動する……或いは、していたの。クラスの第三走者は、相高原あいたかはらひで君。そしてその次だったの、第四走者……


「じゃあ、行くね」


「うん、頑張って。でも、無理しないでね、僕がそのあと頑張るから」


「ありがとね、千佳ちか


 そう。梨花りかの番なのだ。……僕が以前プロデュースした関係の、とある研究所に可奈かなと一緒にお世話になっていて、激務に次ぐ激務だから少しでも、負担を減らしてあげたかったから。今になって解ったことなのだけど、学園あげてのプロジェクトらしいの。


 僕の発案のお陰だって、瑞希みずき先生が褒めてくれた。


 何でも、現在いまの環境問題を解決する糸口になるのと、そう言っていたから……その真意はまだ解らないけれど、だから少しでも、梨花の力になってあげたいの。可奈も含めて。


 ――スタートを切った。


 襷を受け取る梨花、相高原君から。……でも彼のお陰なの。差は開いた。四クラスの内の二クラスを、離すことができたの。今、梨花と並ぶのは、四組の男子で、かつては同じクラスの子だった。僕ら三年二組は、今の三年四組と合併していて二十四名だったの。


 二学期になってから、三年二組は分裂……二クラスになったと考えて頂いた方が、その方が解りやすいかも。他の学年よりも行事の多い学年のため、時差の登校をするのではなく、クラス分けを提案されて、それが実現した形となったの。つまりは三年一組が二クラスに分かれて三組が誕生して、三年二組も二クラスに分かれて四組が誕生した……


 そんなわけで、十二名単位のクラスが四つに分かれたのだ。


 でも、担任の先生は変わらずなの。早坂はやさか先生は二組と四組を見ている。HRは時間差で行われているの。今日も、そうだった。だからこそ僕は……



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