第五七一回 学園内での散歩道は、新たな出会い。
――実は、そうなの。
この度の台風が再生するように、想い出もまた、今朝のように繰り返した。
それは、偶々早く着いた学園内。朝のHRまで一時間もあるの。そしてこのシチュエーションにより重なる二年前のこと。この学園に来て日の浅き一年生の秋……
ワクワクしていたのを思い出す。見る景色もその心境をも新鮮なもの。
新たなる世界観。――広がる大空、或いは広がる海のように、青く見える清々しい窓からの、ナチュラルな照明の贈りもの。その中を征く道程。見える景色は、心躍る趣に。
何もかもが初めて見るもの。そして体感すること。
私立の学園もそうだけれど、高級感漂うブレザー制服。自分のこれまでの境遇が変
わったような感じがした。だから、スキップに近い軽い足取り。久しぶりの溢れる笑顔で、
――いい
と、言ってくれた、
そして今――
その日と同じように歩くの。やっぱり探検は面白い。あくまで散歩のレベルだけど。
入ってみた、高等部の校舎。可奈も時々、一文字さんに会いに、訪れるという……。僕は誰と会えるのかな? 思わずそう思った。そんな矢先だ。――バッタリと会ったの。
向かい合わせで、知った顔だ。
「チカチカ、この学園だったの?」
「シャルロットさんも、この学園だったの?」
この時なの。お互いが初めて、この学園で顔を合わしたのは。……いやいや、それ以前に、お互いがこの学園の生徒だということも、初めて知ったことだったの。包まれる驚きとともに、僕はシャルロットさんと暫しのお時間を過ごすことになる。……音楽室で。
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