第五六一回 正午の鐘の音は、煌びやかに。
――現実に起こるサプライズは、物語よりもドラマティックに。
それが今、この時なの。
執筆からの気分転換のために訪れた、シャルロットさんのいるコンビニエンスストアで偶然……という言葉では片付けられず、サプライズ的な出来事に心躍ったの。
今はもう、目の当たりにまで。流動的な、夏休みの最終日の今日。……お家のこともあるから、正午までと時間の制約は生まれる。そう思ったのだけれど、
「……いいの? お母さん、心配しない?」
「俺、帰っても一人だし。おかんは新たなバイトを始めてな……まあ、いつものことだけどな。だから、弁当買って
少し……痩せたのかな?
何処となくだけれど、太郎君に翳りがあるように見える。見えたからギュッと、
「ち、千佳? 濃厚接触だぞ、急に腕にくっついてきて」
「僕たち、もう家族みたいなものだから問題なし。……ちゃんと言いなよ。太郎君がもし大変なら、僕は相談に乗るから。僕だって波乱万丈な経験してきてるんだからね」
一瞬だけど、
……そう一瞬だけれど、太郎君が少し涙ぐんでいるように見えたの。
でも、グッと堪えているようにも感じられ……「ありがとな。でも、千佳には敵わないなあ。でも大丈夫だ。大丈夫だからな。俺も高校生になったらアルバイトするんだ。あの人のように。本当は、……だからな、なるべく千佳の家の近くがいいと思ってな」
と、言ったの。込み上げる想いは、この身を震わせるように、
「うん! 僕も応援するからね」
――嬉しさ満開! コーヒーとお弁当を持ち、シャルロットさんのレジでお会計だ。
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