第五五七回 今宵はまだ、飛び交う枕から始まるの。
――それは豆電球の照明から一転して、白色の賑やかな照明へと変わってから。
という具合に可奈と意気投合。
二人で梨花を攻めようとしたのだけれど、狙いが狂ったのか、お部屋に入ってきたシャルロットさんの顔に枕が見事に直撃……やっちゃった。と、思ったのだけれども、
「エキサイティング! これ、投げたらいいのね?」
と、問いながら、クルリと砲丸投げの要領で……回転投法と名前を思い出した時にはもう、枕は放たれて、僕がサッと避けたので、「グフッ」という字幕に現れそうな、悲鳴が聞こえる。……恐る恐る後ろを見ると、
よりによって、渾身の一撃とも思えるその一投が、
……ポロリと、枕が落ちると、摂のお鼻が赤くなっていて、プッと吹き出しそうなほどに、笑いが堪えられなかったの。すると、するとね、「よくも笑ったわね、可奈」って、
「えっ、私じゃないし」
摂の投げる枕は、可奈を狙っていて、可奈は可奈で軽快に避け回る。すると一瞬、視界を遮られた隙に、枕が飛んできて、僕の顔にヒットする。……そうこうしている内に、このお部屋は笑いの絶えないお部屋と化し、気付けば、皆が楽しそうな顔をしているの。
――僕は思うの。
妹として色々と抱えているけれど、それでも、やっぱり梨花が大好き。とても妹想いの温かいお姉ちゃんだから。梨花が怒って僕を叩いても、僕より泣いちゃっているから。
本当は、とても優しいお姉ちゃん。
可奈もきっと本当は……お姉ちゃんとヴァイオリンを弾きたかったのだと思えるの。それが証拠に可奈も、僕と同じように楽しんでいて、とってもスマイリーになったから。
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