第七十七章 ――模擬教習。

第五四六回 重なる想いと、それは重なる未来へと。


 ――そのために僕らは今、ここにいる。


 それが喩え中学生でも、その覚悟は同じ。僕もまた、太郎たろう君と同じ覚悟を持つ。その出来事は未来のことだけど、それは今と変わらない想い。僕らはずっと一緒だから。


 繋ぎ合う手が、何よりの証拠。

 見詰め合う瞳と瞳は、その未来をも強固なる約束で繋いでいる。



 そして今は、もう夜の帳。一人お部屋の中で、


 僕は天井を見詰め……ううん、ぼんやり眺めているの。エブリキャラのぬいぐるみを抱いてベッドの上。脳内でリフレインされる太郎君の言葉、そのメモリーズさえも。


 そして鳴り響く……


 僕のスマホ。着信の音は、カントリーロード。僕のエッセイが始まった日から、ずっと一緒に歩んできた曲。ギュッと抱く想いと共に、そう出て見るの。


 そしてその相手は、


せつ、どうしたの?」……だったの。


「チカチカ、何か久しぶりね。最近どお? 夏休みの宿題は?」


「今日、終わった。太郎君も一緒に。もうクタクタ……

 で、摂はどお? 夏休みの宿題。まだだったら手伝ってあげようか?」


「心配ご無用、もう八月入る前に終わっちゃったから。お嬢様も大変大変……習い事のオンパレードだから、どこまで続くんだろうねって感じ。てなわけでね、チカチカに通話したってわけ。一泊二日、私の家に御招待ってことでね」


 はあ?


「あの、話が見えないんだけど。……摂の習い事と、僕のお泊りとどう関係あるの?」


「だからよ。お嬢様にだってガス抜きがいるし、チカチカも修学旅行に行ったことなかったんでしょ。これは私にとってもチカチカにとっても自己啓発。或いはね、課外勉強ってところかな。模擬の修学旅行を経験させてあげようってわけね、あなたに」



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