第五四四回 喩えるなら、矢が飛ぶように。


 ――ミミシッ! と音を立てることもなく、静かに御静かに天空を流れるお星様。



 それは集団へと発展して、流れ星が群れを成す光景。とある丘から見える流星群。

 夜を駆け巡るの、夜の静寂のお空高く。


 そして、お星様といえば可奈かな。天体観測に今、勤しんでいる。その中でも一番に思うことは、本当に久しぶりだった。可奈と会うことが……


 会ったのは僕一人ではなく、梨花りかも一緒に。三人一緒に此処にいる。プラネタリウムもまた……閉鎖されてしまった。今年も三人で行こうねって、約束していたのに……


 約束していたから、今この場にいるの。



 可奈は言うの。


「また三人で、前みたいに以前のように遊びたいね」って……


 寂しそうな趣。少し涙さえ浮かんでいる可奈の瞳。僕は思うの、彼氏と上手くいってないの? と。女の勘ともいえるそんな感じの趣だけれど、当たってほしくない。ただ、イベントが次々と中止に延期――毎年恒例のふるさと祭りも今年で遂に打ち止め、修学旅行も延期で、文化祭も体育祭もあるらしいのだけれど、僕は経験したこともなく、二学期もいつ始まるか定かではないということが続いたから、不安になっていたのだと。


 四季折々の眩暈とでもいうのか……


「大丈夫だよ、可奈。

 来年はきっと全部できるから、プラネタリウムも、ふるさと祭りも。何よりも僕らは一緒だから。高等部になっても三人一緒。バラバラになったりしないよ」


 と、梨花は笑顔で言ったのだ。僕よりも、可奈のことを知っている梨花だから。


「そうね、らしくないよね。

 ありがと、梨花。何があっても私たち三人は、ずっと一緒ね」


 ある意味、意味深とも思えるその言葉だけど、まあ、可奈が笑顔になれたのだから……



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