第五四三回 喩えるなら、鶏が走るように。
――コケコッコー。
早朝を飾る鳴き声。何処からともなく聞こえてくるの。遠いのか? 近いのか?
そして声を掛けられる今時分。まだ夜明けも間もないと思いつつも、ベッドから上半身を起こすその前に、
「
……って何々? 藪からスティック……いやいやいや、この場合は藪から棒に。それよりも眠い。途轍もなく眠くて、まだ眠いのにユサユサと、身体を揺さぶって――
「あー、もう! 一体何なのよお?」
と、僕は不機嫌も不機嫌で、しかもその最中だから稲光で、上半身を起こした。
「千佳、ロボットもののエッセイをやるそうじゃない?」
「誰から聞いたの? ……やるにはやるけど、まだロボットの名前が『四季折々』くらいしか煮詰まってないし、僕がやるわけじゃなくて梨花がやるんだし……」
その言葉の始終、脳裏を駆け巡るのは、何で梨花が知っているのか? 秘密厳守の筈なのに、僕と
なら、梨花はしっかり読んじゃったのだ、僕のエッセイ。ずっと応援してくれている読者だから、感謝で溢れる。夏は向日葵のように、ニッコリ笑顔がよく似合うから、
「それで充分だよ。見切り発車なんてありき。僕は見切り発車のオンパレードだから、ありがと千佳。……正直どうしようと思ってたんだ。緊急事態宣言は延長で修学旅行も延期だし、中止は免れたようだけど、二学期もいつから始まるか、わからなくなったし……」
そんな中でのアイディアだったの。咄嗟に、僕の脳内で生まれたアイディアだから。
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