第七十五章 熱い心を強い意志で包むこと。

第五三二回 急流する明日。何処にその調べが?


 ――それは微かなる調べ。聴くことができるか否かのミュートに近い音量。



 だから変化に気付かないまま。そのまま四連休は完結を迎えて、新たなる章へと事を運んだ。それは、もう夏休みに突入している僕ら。その中に於いて、東の都で開催されているオリンピックは、様々なドラマを創り上げている。付き纏う賛否両論の声も、ニュースの世界にはあるのだけれど、それはきっと、僕らの思い方ひとつ。



 蔓延防止から緊急事態宣言になろうとも、ルールを守れば感染拡大は防げると、僕はそう信じている。……でも、感染拡大は爆発的に起きてしまったのも現実なの。


 よく見ると、ルールを守ってない人を見かける。……梨花りかも元は東の都にいた子で、せつもまたそうなの。でも、オンラインで済ましているの。本当なら、修学旅行は東の都に行きたかったことだろう。一度はサヨナラした子だけど、梨花はまた会いたいと思っているそうだ、摂と一緒に。……もう二年、待ち焦がれているという。会いたいと思ったそのタイミングだったの、COV‐2が猛威を振るったのは。敢え無く最初の緊急事態宣言を受けたから。僕もまた、梨花と一緒に行きたいと思っているの。ディズニーへ。


 収束したなら……


 その時に見る世界観。開ける宝箱だと楽しみにしている。


 だから、皆元気に収束を迎えたいの。それが僕の切なる願いだから。現実は厳しいのはわかっていることだけれど、前向きに、この先の夢を持って僕は歩んで行きたいから。



 ……鈴木すずき君のピアノコンクールが中止となった。


 七月二十五日、第二次ウメチカ戦の最終日に知らされたそうだ。……仕方ないよ。と言う鈴木君よりも、残念がっていたのは公太こうた君の方だった。そして思うの。最終的に決まるのは大人の都合だと。……原因は、主催する側にあった。感染者が出たの……ルールを守らない者がいたから、お酒の場でノーマスク、そして密になったからだそうだ。



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