第五二九回 激戦! それは予想の通りに。


 ――両者譲らずの繰り出す技。それはもうプレイ開始とともに始まっていた。



 呼吸もピッタリに「レオ!」「タロ!」との掛け声。赤い巨人へと変身を遂げる。その背景は宇宙空間。昨日、僕が奈々ななさんと戦ったステージと同じ景色だ。従ってゲーム機も同じ。僕は観客席から……と思っていたのだけれど、太郎たろう君の隣となった。


 それは開始直前――千佳ちか、俺の傍にいてくれ。


 そう太郎君が、僕に言ったから……手首も握って、僕を頼ってくれたから。何かできるわけではないけれど、それで太郎君の心が軽くなるのなら。……それ程の相手なの。


 都築つづき玲央れお君が扮する、ウルトラ・レオというアバターは。


 颯爽たるレオキックが襲ってくる。変身直後に、間髪入れずに繰り出された技……前回は、この技でタロの首が切断された。ところが同じ技は通用しない。レオキックは回転しながら垂直降下に迫ってくる技……であるなら、こちらは竜の如く上昇すればいい。


 キックにはキック。そして回転には回転を。


 すると実現! 新技の昇竜スピンキックが、目の当たりに、大いなる画面に……



 制した!


 キック同士が回転を相殺したのだ。しかしながら、胸のカプセルは青色から赤の点滅へと変わった。タロもレオも同じタイミングで。予想よりも早いエネルギーの消耗。そこで一瞬の決着へ転ずる覚悟……タロの体が光る。超必殺技のサクサク光線の発射準備。光線技はタロの方が上手だと思われたが、レオも、体が赤く光る。まさかの光線技?


 そして構えるのだ。両腕をクロスして両者とも放つ!


「サクサク光線・ダイナミック!」「赤光線のミラクル尽くし!」と、技の名前が画面に表示される。すると大きな衝撃、爆発にも似た……って、画面上では爆発が起きていた。


 両者の光線技が激しくぶつかり合って、ビッグバンを起こしたようなのだ。背景も真っ白になって……勝負の行方は? 両者のアバターは無事なのだろうか?



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