第五二八回 決勝は、あなたの手に宿るの。
――黄昏のお空が夜を導いても、また陽は上るの。駆ける僕はいつも通りだから。
そして思っていたよりも、いつもの光景。……今日は最終日、四連休の。初日に比べるなら時間の流れも三倍速に感じる。明日からお仕事の人もいるけれど、そんな人達ともエンジョイできるようにウメチカ戦。泣いても笑っても、もう最終日だから。
ウメチカ戦の会場は、もう場数を踏み常連の域。
僕と
実は、太郎君にチャンスが巡ったの。
つまりは怜央君の勝利となりそうだったのだけれど……敗者復活戦を、怜央君は望んだのだ。指名したのは太郎君。ウルトラ・タロとの対戦を彼は希望したのだ。
それは、この度のサバイバル方式。
最後まで生き残ったものが権限を持つ、王者の権利。願い事を一つ叶えられることだ。
なら……
彼は最後までファイターだったといえよう。……とてもカッコイイと思えた。
選択肢には、このまま戦わず優勝という道もあったのに、彼は選ばなかった。あくまでウルトラ・タロとの対戦と心に決めていた。女の子の僕にはわからない世界だけれど、男と男の戦いにはロマンがありカッコイイの。それはこれから始まる。ソーシャルディスタンスは意識しながらも、僕だけではなく皆が皆、この試合に注目していた。
最終決戦は、これより始まる。上る朝陽のように、このリアルな世界で。
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