第五二七回 拡大は、宇宙規模のスケール。


 ――そうなの。舞台は宇宙。



 心の中の小宇宙ではなくて、果てしなく広がる大宇宙での戦いとなった。何故なら僕が巨大化を試みたことで、この度の試合へ繰り出すアバターは皆、巨人で宇宙人……


 もしかしたら、これは変身ではなくて、本来の姿だったのかも。


 それは可能性。人が成長する時のスケールは果てしなくだから。

 ウメチカ戦の試合もまた、革命レベル……


 僕のアバターは拡大して、想定四十メートルの巨人に。皮膚は赤いスーツに、お顔は銀色に……胸にはカプセル。青色に発光している。その名もゾーン。大いなる変化。或いは二段変身をも成し遂げる進化。ウメチカの星からウメチカ・ゾーンになったのだ。


 これでもって対等。条件も三分というリミットはお互い様なの。



 ――決勝戦の風格を持つだけに、大技を、切磋琢磨と繰り出す醍醐味。冴えわたる動きの読み合い。見応えのある試合に転じるとの思いで、もう必死の最中だ。


 アストロ・セブンのユースラッガ―は、鶏冠の部分が脱着して鋭い刃物となる。ノーダメージは望めず切り刻まれる赤いスーツ。そこから緑色の血が流れるの。巨大化すると血の色が変わるらしい。その身は宇宙人で、……でも、心は人間だ。


 僕が、それがアバターであろうとも如何様に姿が変わったとしても、変わらず観てくれて応援してくれて皆も太郎たろう君も、そしてまた魅了する試合のその内容を目指すの。


 ガチなショーを。


 リアルなだけに、予測不可能な試合の行方。綱渡りの勝負なの。


 そして僕のアイテムはブレスレッド。それが煌めきの剣となる。でも、やはり必殺技は光線だ。両腕をクロスして放つ波動砲。両者が呼吸もピッタリに放つ波動光線は、大いなるダメージをも仲良く分け合った。両者とも倒れ……HPヒットポイントまでも同時にゼロとなって、青から赤点滅していた胸のカプセルは、その点滅までをも止まってしまったの……



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