第五二一回 そういえばコンクールは如何様に。


 ――今更だけれど、バンプラのコンクール。


 ℮スポーツ部門と同じく第二回目。これもまた立派なウメチカ戦の部門だ。



 そして梨花りかも二回目の応募。この度は一人ではなく皆が力を合わせたその結晶だ。元々はせつとタッグで挑む予定だったけれど、日程的に厳しくなり……とはいうものの、君は夏休みの宿題を前倒しに進めて後半を楽しむ派? それとも八月三十一日まで宿題が残っちゃう派? というような問いに、見事なまでに当て嵌まる程度のことだけれど、僕と太郎たろう君は応援してあげた。……とはいっても、浴室で起きた僕と太郎君の、ある意味では愛の営みともいえる内容のことを、見ちゃったことを口止めするという条件付きで。



 でも、楽しかった。


 仕上がりの日には可奈かなが、駆けつけてきてくれた。この度のバンプラは、梨花を始めとしたウメチカ・ファイブが、五人揃っての傑作の品。対する挑戦者は数多く……その中でも、身近にライバルを名乗る者がいた。


 それはまた、芸術部の先輩と後輩の対決となった。


 公太こうた君は梨花に挑戦するべく、助っ人をお願いして……タッグを組んでいた。同じクラスの鈴木すずき公生きみお君。ピアノコンクールに向けての多忙な毎日の合間に、バンプラに心の安らぎを見出していた。誘ったのは公太君。


 思えば二人はバンプラで繋がったの。話題もバンプラ。全然タイプの違う二人が、会話へと展開するきっかけとなったのは、日の本橋。それもバンプラ専門店。


 そこでバッタリ会ったそうだ。


 学園ではできなかった会話も、ここなら共通の話題を思い存分に展開。お小遣いを出し合ってビッグなバンプラを入手。その名も『ネオング』……一メートル級のもの。


 かつて梨花も作ったことのあるネオング。キットとしては最高のヴォリュームにその内容も然りで、堂々たるエントリーだったの。――その結果は、また後日明らかとなる。



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