第五一八回 大海を知る蛙、大会で飛躍するの。


 ――大会は、若者とって大海なの。


 ある意味では、海に青春あおはるを懸けている若者だ。


 そう思うと、とてもカッコイイの。ウメチカ戦での戦闘スタイルは自由。……例えばストリートファイトもそうだし、赤い巨人同士の戦いも。前回のラスボスは、可変戦闘機が登場してミサイルを撃ちまくってきた。一見、反則のように思える内容だけれど……普通のゲームなら。ウメチカ戦では戦闘スタイルも桜梅桃李で、ジャンルも自由だから。


 そして僕のアバターは魔法少女。


 繰り出す技から、この度より剣士となった。



 対する相手は美千留みちる。……戦いは続いている。確かに他の選手に比べたら地味な方だけど、ライバルを名乗るだけあって、僕の中ではしっかりと強敵の仲間入り。油断していたら、ここで敗退する可能性もある。美千留も僕に合わせて剣士となったの。


 魔法少女の趣を残した僕のアバターに対し、大人びた女性剣士が彼女のアバター。いつ僕が剣士に転向したかは太郎君以外は知らないはずだけど、彼女は知っていた。きっと調べたのだろう……彼女は対等を好む。正々堂々と、僕に戦いを挑んできた。


 交わって突きあう中、それは攻撃と防御。


 僕は剣に関してはまだ素人。その極意までは手探りの状態。美千留もまた同じようだ。


 だから聞こえるの、攻撃以外の……ううん、そこを越えたコミュニケーション。言葉や或いはワードのキャッチボールだ。そこにあるものは『会話』だったのだ。


千佳ちか、あなた高校は学園内で進学なんだって?』


『そうだけど?』


『私もいいかな? あなたの学園を志望しても。そのつもりで勉強してるから』


『うん、大歓迎! 美千留もウメチカ・ファイブ決定だね』


『あらあら、シックスじゃなくて?』『あっ、そうだった』……笑えてくるの、楽しくなるの。僕は、もっと早く、このことを知りたかった。――きっと、わかり合えるから。



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