第五一七回 思えばそこは、窓からお外の世界。
――あの頃の、教室の窓から見えていたもの。それは束縛の世界。隔離された世界。
その世界より、向こう側が見えていなかった。
井戸の中の蛙。でも今は、大海の中に身を置いている。そしてあの頃の、束縛の世界を元凶となった彼女と向き合って、対等に、対戦している。そうだったね……
たとえそれが、いじめの世界で生まれたものでも、
そのおかげで、僕は素敵なパートナーに出会えて、今はアクリルの透明な壁はあるけれど、身も心も結ばれた仲にまで。……℮スポーツに巡り合わしてくれたことに感謝なの。
ウメチカ戦で彼女と再会して、
始めは憎悪みなぎる復讐心……いじめに対する繰り返される思い出だったけれど、きっと夢中になっているうちに、そこを越えたの。一つ一つのプレーがコミュニケーションとなったから僕は、井戸の中にいたケロリンのように、その向こうにある大海を知ったの。
だから今、再び対戦する彼女に、
溢れる感謝の思いを込めて、全力をもってボコボコにするの。
時間にして今は午前の十一時となったばかり、序でにいうのなら僕らの夏休みも始まったばかり。中学生としての最後の夏休みとなる。クラブでいうなら三年生にとっては、最後の大きな試合ってところかな? バスケ部やサッカー部、野球部なら高校生になってからの目指せ甲子園が醍醐味となるけれど、僕の場合はきっと、ウメチカ戦から始まる。
そして今、画面上の僕のアバターに名がついたの。
これが正式な名前なの『ウメチカの星』と。……とあるアニメを参考としたの、この度の革命の意味を含めた。――ネーミングセンスに乏しい僕にしては頑張った方でしょ?
武器は魔法のステッキが変化した剣。技はフェンシング……ご本を見ての覚えたてだけれど。
今は一回戦の第一試合。いきなりの
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