第五一六回 聖者たる誓い! 今再びの宣誓を。


 ――時はまだ、少しだけならあるの。宣誓の前にある心構えや精神集中の儀も。



 時が来たなら敵になるけれど、今はまだお友達で親睦を深めたい。去年は僕の初陣の戦いで激戦を繰り広げた仲の美千留みちる。今はもう見違える仲……


「どお、太郎たろう君とは?」


「ど、どおって?」……マジマジと僕の顔を覗き見る美千留。女の子同士だけれど、美千留は美形な方だけれど、固唾を呑むほど恥ずかしく、こんな時に限ってあのシーンが、ある意味エッチな記憶が脳裏を過ったの。女の子同士だから益々、顔も熱を帯びて、


「この色女っ、顔に書いてあるわよ。

 ……いくとこまでいっちゃったって。なら約束通り遠慮しないから」


「望むところ。もっと見せつけてあげるよ、ラブラブなとこも併せてね。約束通り、この試合でボコボコにしてあげるね、遠慮なく」


 そしてお互いハイタッチ。これがお互いの、暗黙の合図なの。宣戦布告の意味。


 去年の記憶からできたシナリオ。


 太郎君を巡った三角関係が、僕の知らないところで存在していたから、だからこそ美千留は、僕らのことを見守っているのだろう。僕と太郎君が不仲となったら、それこそ美千留は、本気になって僕のことを怒るだろう。ウメチカ戦に挑んで、そのことを知った。



 ――太郎君、ありがとう!


 ギュッと身を寄せる。「おいおい」と彼は恥ずかしがるけど、だからこそ「僕と、一緒に頑張ろうね」と一言。「いい顔してるな、千佳ちか。俺のパートナーはお前だけだ」


 刺さる言葉。四角い黒縁眼鏡のその奥には、瞳に映る僕。


 ――うん! 心よりの感激交じりの声。これでもうハートは全開。怖いものはなくなった。そして丁度そこに現れたのだ。ウルトラ・レオのリアル……都築つづき怜央れお君が。その隣には葉月はづきちゃん。察してはいたけれども、やはり驚くのはお約束と思われる。



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